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税理士試験

税理士試験、がむしゃらに受けちゃダメ!

税理士試験、がむしゃらに受けちゃダメ!

 こんにちは、税理士の脇坂です。

 引き続き、税理士試験関係の記事を書きます。

 今回は、これから税理士を目指される方向けに、試験勉強を続ける上での試練(?)を知ってもらいたく、記事にしました。

 それでは、宜しくお願い致します。

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目次

1.税理士試験を受ける上で待ち受ける試練とは?

2.試験を受ける前に、自分なりの掟(ルール)を作ろう

3.まとめ

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1.税理士試験を受ける上で待ち受ける試練とは?

 

 まず、現状の税理士試験の実態の説明をしようと思うのですが

 定量的データを基に、記事を書かれている方が既にいらっしゃいますので

 詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

 

税理士試験の合格まで何年かかるのか?(開示請求により入手した統計を初公開) - Markの資格Hack (税理士試験)

税理士試験は公式に公開されている情報が少なく、不透明な点が多い試験です。私、Markは、そのことを問題視し、国税庁に対し開

shikaku-hack.hatenablog.com

 要約しますと……

 

■合格者の過半数が、最初の科目合格から試験合格まで9年かかる

(※大学院免除を受けた人も含まれるため、5科目取得だと更にかかる)

 

→な、長……すぎませんか?( ̄▽ ̄;)

 

 税理士試験の受験資格が「簿記一級の取得」か「大学3年生までに必要な単位を取っていること」ですから、ほとんどの人が社会人となって働きながら勉強することとなります。

 ーーー仕事で疲れた平日の夜から、勉強する。

 ーーー休日も時間を惜しんで勉強する。

 これが、当たり前の日常となってしまいます。

 ……生まれ変わったら、高校生で簿記一級取って、大学在学中に税理士5科目取りたいですね……(笑)

 

■受験者数の減少

→大体、対前年比10%減を続けています。

 

・令和元年度

 受験申込者数:38,525名、実際受験者数:30,850名(約8割)

・令和2年度(本年度)

 受験申込者数:35,135名、実際受験者数:8割と考えると28,108名と予想。

 

 今年はコロナ禍でしたから、実際に試験会場に足を運んで受験した人たちは例年より少ないことが考えられますので、8割では済まない可能性は高いです。

 結局、「実際受験者の内、約10%が合格、約90%が不合格」という相対評価の試験ですので

 新規に受験者が増えず、何年も受験を続けているベテラン勢が滞留している現状を考えると、初学者は一発で合格を勝ち取ることが必然的に難しくなります。

 

「ベテラン勢って、要は効率が悪いから何年も受けてるんでしょう?俺は違うから、大丈夫!」と思ってらっしゃる方がいれば、その考えはやめた方がいいです。

 

この試験は、実力は言わずもがな、最後は運が物を言う試験です。

 

「本番の自分の体調(コンディション)」「精神的プレッシャーの度合い」「試験問題・試験委員との相性」「試験本番での凡ミス、勘違い」など、これらは自分の力では当日にならない限り、どうしても分からないことです。

 確かに、落ち続ける人は勉強方法が悪く、理解力、文章作成力、読解力が足りていないかもしれません。ですが、試験を受け続ける人の大半は、年々、それらを克服し、自分のものにしている人がほとんどですので、注意してください。

 

■金銭面での苦悩

→独学では厳しい戦いとなるため、大原やTACといった予備校に通う場合、必要な出費は下記の通りとなります。

・簿記論:約20万円

・財務諸表論:約20万円

・所得税法、法人税法:約20万円

・消費税法、ミニ税法など:約15万円✖️2個

→計:90万円〜100万円

 

 この値段は…

①税抜です(笑) ここから更に消費税が上乗せされますね。。

 社会人の方は、雇用保険に加入されている方がほとんどだと思いますので、「教育訓練給付金」の制度の活用などにより、出費をできるだけ抑える必要があります。

②一年分の値段ですので、もしもその年、不合格となった場合、来年度は「経験者コース」や「直前対策コース」を受験するなどして、別途、お金が掛かることとなります。

 税法は、毎年のように改正がありますから、一年前のテキストでは意味をなさない可能性も十分にあります。

(※例えば、消費税法なんかは2019.10.1〜から8%→10%に加えて、軽減税率も加わりましたから、以前のテキストでは歯が立ちません)

 

 また、各受験科目の勉強方法などについては、別の記事で書きたいと思います。

 

 ■ご家族がおられる場合には、理解を求めることが必要

→私はまだ独身ですが、やはり養うべき家族がおられる場合は、更なる苦境となることは間違いありません。

 独身の私でさえ、やはり不合格の年に至っては、家族から冷たい目で見られたものです。

 以前の私の職場の先輩なんかは、「毎年不合格で、家族サービスもロクにせずにいい加減にしてよ!」みたいなことを奥さんに言われて、試験を断念した方もいらっしゃいます。

 試験合格に固執するあまり、視界が狭まっては、周囲に与える迷惑も計り知れないかもしれません。

 

2.試験を受ける前に、自分なりの掟(ルール)を作ろう

 

 そのため、この試験を受けるにあたっては、まず「自分なりの掟(ルール)」を作り、それを必ず遵守する心構えが必要です。

 掟(ルール)の具体的な項目を下記、記載します。

 

■プランA、プランB……など、幾つかのプランを考える。

→キャリアプランをまずは、いくつか考えましょう。

 ここでは、25歳から一念発起して、税理士試験に挑むことにした「会計事務所勤務のA君」を例とします。

 

【大前提】

→30歳までに税理士5科目を取る。

→スクールは原則、TACに通う。科目によっては大原にする。

→スクールにかける予算は100万円。大学院に行く以外は、それ以上使わない。

→会社には、確定申告などの繁忙期を除き、原則、定時で帰らせてもらうようお願いする。

 

<プランA(理想)>

①27歳までに簿記論と、財務諸表論に合格する。その間に法人税法の下地を作る。

②29歳までに法人税法は確実に取り、その間に消費税法の下地を作る。

③30歳までに消費税法と、ミニ税法(事業税か国税徴収法)をダブル受験

→終了。税理士として税務のスペシャリストを極める。

 

<プランB>

①27歳までに簿記論と、財務諸表論に合格する。その間に消費税法の下地を作る。(実務でよく使うから)

②29歳までに消費税法を合格する。早くてその年から大学院へ通いだす。

③31歳頃に大学院卒業。晴れて税理士へ。

→終了。税理士として税務のスペシャリストを極める。

 

■撤退基準を作る

→上の例ですと、31歳頃で終える予定となっておりますが、実際、うまく行くかは分かりません。ですので、撤退基準を作ります。

 これをしないと、ズルズルと未練だけが残り、仕事が激務になる中、更に厳しい勉強環境を強いられることとなります。

 

<撤退基準>

・①が実現できなかった場合、自分にはセンスがないものとして諦めて、あくまで実務のための勉強として、TACの税法講座を受ける。

 キャリアとして、会計事務所を続けるか、それとも経理などの別業種へ行くかを考えて、転職エージェントを場合によっては頼ることを視野に入れる。

・②で法人税法が合格できなかった場合、一旦、30歳までをリミットに法人税法に専念する。それでも合格できなかった場合は諦めて、ミニ税法を取り、プランBの大学院へ移る。

・③30歳までに4科目ホルダーである場合は、32歳まで試験勉強続行。それでも受からなかった場合は、その時に考える。

・30歳までに税法科目が取れていない場合は、撤退する。会計事務所職員として継続するか、それとも経理などの別業種への転職も視野に入れる。

 

■キャリアのバッファーを作る

→税務知識に長けた人財は市場価値がありますので

 何も、会計事務所や税理士法人だけが、就職先ではありません。

 

・事業会社の経理職へ転職する。

・規模の小さめの上場会社を狙って、企業のIR広報など、経営企画部へ転職する。

・会計の知識を活かして、財務諸表分析・コンサルティングの会社に転職する。

 

 など、見渡せば色々な可能性があり、その経験はもっと自分の市場価値を押し上げてくれますから

 積極的に、転職コンサルなどを頼ってみましょう。

 

★★もちろん、年齢が若ければ若いほど、転職に有利です★★

 

■税法は、好きな科目を選択しよう。

①興味のある科目の勉強が一番捗るのは真理です。

 私の場合は、法人税法ではなく、個人課税に興味があったので所得税法を受験しまして、メチャクチャ楽しかったです。

 

「いや、興味のある科目なんて、分からねぇし……」という方は

 

②次に、実務的に役に立つ科目を選択する。

 法人税法は正直、予備校で習うような難しい処理は、中小企業の税務申告の場面でそんなに出てきません。

 

 どちらかというと、実務で大事なのは「消費税法」です。これは避けては通れない道だと思います。

 実際、税務調査の際にも……

 

・売上の計上漏れ or 帳端漏れ

・原価の過大計上(棚卸資産)

・収益・費用の期間帰属をきちんと意識できているか?

・消費税の課税区分チェック

・印紙税

 この5つは税務調査の際に、調査官はよく見てきます。

 

 消費税法に至っては、「そもそも納税義務があるのか?」「建物など高額な固定資産を取得した場合」「簡易課税を適用する場合」など、実務では留意しなければならない項目だらけであり、判断を誤ると、賠償責任問題に繋がりかねません。

 

③場合によっては、戦略としてミニ税法や大学院免除により、税理士になる。

→法人税法を持っていれば、事業税を

 所得税法を持っていれば、住民税を

 電卓を叩くのが早くて、理論の速記が得意なら固定資産税を

 出題者の意図を汲み、理路整然とした文章を書くのが得意なら国税徴収法を選ぶのが一つの指針かもしれません。

 

 お金に余裕がある方は、大学院の進学も視野に入れましょう。ただ、論文とディスカッションだらけと聞きますので、卒業するのも大変だと、個人的には思います。

 

3.まとめ

 以上が、税理士試験を受ける前に、一読していただきたい内容でした。

 上に書いたことを自然と自分の体に染み渡らせて、日々、活動するためには

「心構え」が必要だと思います。

 

 常に持っておくべき、心構えは一つでして、それは……

 

 試験に受かるために「今、何をすべきか?」を逆算して考える。

 これに尽きると思います。

 先の、先を読んで、自分のキャリア形成を考えてみていただければと思います。

 次回も、是非、ご一読のほど宜しくお願いいたします。

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